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CAMERA ROLL

ロックダウン直前のリスボン、路面電車の窓から。

2020年2月29日撮影。次の週から、世界が閉まった。4年ぶりに発掘された、何気なさの最高値。

TEXT: 投稿:時差ボケ研究所 ILLUSTRATION: 線画置き場 ◷ 読了 約2分 2026.06.24
tram 28 — 2020.02.29 one week before
28番トラム。この窓の外の日常が、翌週から3年間の「貴重品」になった。

撮った本人は、この写真のことを完全に忘れていた。リスボン名物の28番トラム、車窓、洗濯物、坂の街。観光写真としては50点。だが撮影日を見て、手が止まった。2020年2月29日。世界がロックダウンに入る、一週間前である。

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何気なさの最高値

車内は混んでいて、観光客が笑っていて、marchéの匂いがして、誰もマスクをしていない。当時は「普通の午後」だった。その普通が、翌週から3年間、世界のどこにも売っていない貴重品になった。

写真の価値は、撮った日ではなく、
見返した日に決まる。

カメラロールの奥には、こういう「まだ価値の確定していない一枚」が眠っている。だから旅の写真は消せない。あなたのフォルダの奥の一枚も、いつか化けるかもしれない。

— fin —
投稿:時差ボケ研究所旅の写真は帰国後3年寝かせてから見る派。熟成という言い訳。
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