MOLT  ›  記事  ›  #007 — AWE
INTERVIEW

朝4時の漁港で、海と空の境目がなかった。

眠れなくて散歩に出ただけなのに。氷見の漁港で世界の輪郭が消えていた朝の話。畏敬は、遠征しなくても待っている。

TEXT: 語り手:ゆす ILLUSTRATION: 線画置き場 ◷ 読了 約2分 2026.06.23
(水平線、消灯中) himi port, 04:07 — no horizon today
水平線が行方不明の朝。船だけが、上下の手がかりだった。

旅先ですらなかった。帰省中、眠れなくて散歩に出ただけである。午前4時、氷見の漁港。海と空が同じ灰青色で、水平線が消えていた。世界がまだ輪郭を描く前の時間帯が、あるらしい。

01

上下がなくなる

「船が浮いてなかったら、どっちが海か分からなかった。宙に立ってるみたいで、ちょっと怖くて、でも帰りたくなかった。15分くらいで漁船のエンジンがかかって、波が立って、世界に線が戻ってきました」

世界の輪郭は、思っていたより遅起きである。

畏敬の念は、氷河やサハラの専売ではない。始発より早い時間の近所に、ちゃんと在庫がある。必要なのは航空券ではなく、眠れない夜だけだ。

— fin —
語り手:ゆす眠れない夜は歩く派。この経験以来、目覚ましより早く起きた日は港に向かう。
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