MOLT  ›  記事  ›  #018 — CATALOG
CATALOG

国境を、歩いて越える。

飛行機は国境を「飛ばして」しまう。歩いて越えると、地面のつながりが体でわかる。偏愛カタログ、陸路国境編1・2・3。

TEXT: 投稿:陸路原理主義 ILLUSTRATION: 線画置き場 ◷ 読了 約3分 2026.07.04
← here / there →
橋の真ん中。右足と左足が別の国にある、人生でいちばん広い一歩。

飛行機は国境を「飛ばして」しまう。出国はゲート、入国もゲート、あいだの記憶はドリンクサービスだけだ。歩いて越えると、国と国が地面でつながっていることが、足の裏でわかる。偏愛カタログ、陸路国境編。

1

タイ→ラオス(フアイサーイ)

メコン川に架かる友好橋を、バスと徒歩で越える定番ルート。おすすめは橋の真ん中で一度だけ振り返る儀式。さっきまでいた国が、もう「向こう岸」と呼ばれる。呼び方が変わるだけで、風景の意味が変わる。

2

ポルトガル→スペイン(ミーニョ川)

渡し船で5分。ところが対岸に着くと時計が1時間進む(時差がある)。5分で1時間進む船に乗れるのは、世界でもここくらいだ。タイムマシンの運賃は数ユーロ。

3

マレーシア→シンガポール

毎朝数十万人が通勤で越える、世界屈指の生活国境。観光ではなく通勤の列に混ざって歩くと、国境が「日常の設備」である人たちの背中が見える。国境の非日常は、こちらの都合なのだった。

国境で変わるのは風景ではなく、呼び方である。
— fin —
投稿:陸路原理主義空路は敗北だと思っている(本人談)。パスポートのスタンプは全部陸路。
NEXT ARTICLE

サハラの星空の下で、悩みのサイズを測り直した。 →